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    <title>Fool's Paradise ATTIC</title>
    <link>https://guseki.kashi-hondana.com</link>
    <description>Fool's Paradise ATTIC・小説更新情報</description>
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    <copyright>Copyright ©2026 九条寓碩.</copyright>
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    <item>
      <title>エピローグ - 祈れ、無垢なる善人よ</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/3152/section/40619</link>
      <pubDate>Sat, 30 May 2026 20:00:00 +0900</pubDate>
      <description>特任司教ルカは、禁呪や非倫理的な手段をためらわず使うため、「悪の司教」と呼ばれている。彼は大司教から、祈りの力を持つ聖女エデルナを調査するよう命じられるが――。
【2026.4.4 「エブリスタ」にて完結】【執筆応援キャンペーン「悪の〇〇」佳作】</description>
      <content:encoded><![CDATA[
　ヴァルディア大聖堂が崩壊したので、教会本部の機能は、王都で二番目に大きなサンタ・ルミナ聖堂へ移された。

　次の大司教が任命されるまでの間、タッソッティ枢機卿が大司教を代行することになった。
　枢機卿は背中の曲がった、顎ひげを長く伸ばした老人だ。
　ヴァルディア大聖堂にいた頃は、中庭で土いじりばかりしていたので、よく庭師に間違えられていた。


　枢機卿の命を受けて、ジウゼッペは火刑跡へ赴き、ルカが燃やされた後の灰をできるだけかき集めた。

　枢機卿はその灰を持って、聖堂の敷地の隅にある小屋にこもった。

「これから聖なる秘儀を執り行う」

と枢機卿は宣言したが――ジウゼッペが集めてくるよう命じられた素材は、すべて禁呪に使うようなものばかりだ。

　一夜明け、ジウゼッペは小屋の様子を見に行った。
　頑丈な扉を押して中へ踏み込み、驚きで心臓が止まるかと思った。

　火あぶりにされたはずの...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>大祈祷 - 祈れ、無垢なる善人よ</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/3152/section/40618</link>
      <pubDate>Fri, 29 May 2026 20:00:00 +0900</pubDate>
      <description>特任司教ルカは、禁呪や非倫理的な手段をためらわず使うため、「悪の司教」と呼ばれている。彼は大司教から、祈りの力を持つ聖女エデルナを調査するよう命じられるが――。
【2026.4.4 「エブリスタ」にて完結】【執筆応援キャンペーン「悪の〇〇」佳作】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　大祈祷の当日、王都は奇妙な静けさに包まれていた。

　市場でも、開いている店は半数に満たない。繁華街にも人の姿はほとんどない。大半の人々は自宅にこもっているか、ヴァルディア大聖堂の正面の広場につめかけるか、どちらかだ。
　広場だけは、狂乱が渦巻いていた。群衆がひしめき合っていた。祈祷を一目でも見ようと、大聖堂の扉の前には朝から長蛇の列ができている。
　鐘の音が朝から何度も響いた。そのたびに、人々は胸に手を当てて祈りの言葉を口にした。

　エデルナは、正午の少し前に、馬車で王宮から大聖堂へ移動した。

　朝から王宮の侍女たちに徹底的に磨き上げられ、エデルナの外見は別人のようになっていた。ぼさぼさだった金髪も、艶を帯びて輝いている。白い絹のドレスを着た彼女は、まるで天使だった。
　普段の聖女エデルナを見たことがない人は、ほおっ、と感嘆の声をあげている。

「あれが聖女様……」
「お美しい……...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>皆の心を合わせれば - 祈れ、無垢なる善人よ</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/3152/section/40617</link>
      <pubDate>Thu, 28 May 2026 20:00:00 +0900</pubDate>
      <description>特任司教ルカは、禁呪や非倫理的な手段をためらわず使うため、「悪の司教」と呼ばれている。彼は大司教から、祈りの力を持つ聖女エデルナを調査するよう命じられるが――。
【2026.4.4 「エブリスタ」にて完結】【執筆応援キャンペーン「悪の〇〇」佳作】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　王都は、目に見えて痩せていった。

　数日も経たないうちに、通りを行き交う人々の顔から、余裕というものが消えた。咳をする者が増え、黒い喪服を着た行列があちこちで見られるようになった。

　施療院の前には、毎朝、長い列ができた。

「お願いします、エデルナ様！」
「うちの子だけでも……！」

　泣き叫ぶ声を背に、エデルナは両手を胸に当てた。胸の奥の熱は、以前よりも早く燃え上がる。そのたびに頭痛もひどくなっていたが、止まるという選択肢は彼女にはなかった。

　祈れば、目の前で苦しむ誰かが助かる。

　その事実だけが、彼女の足を前に進めていた。

　――実は、教会本部から修道院に対し、エデルナを施療院に出してはならないという命令が下っていた。民にみつからないよう、修道院の奥深く隠せ、と。庭仕事でもさせておけばよい、と。
　しかし、修道女たちは、押し寄せる病人を見殺しにはできなかった。
　エデル...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>闇の中の調査 - 祈れ、無垢なる善人よ</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/3152/section/40616</link>
      <pubDate>Wed, 27 May 2026 20:00:00 +0900</pubDate>
      <description>特任司教ルカは、禁呪や非倫理的な手段をためらわず使うため、「悪の司教」と呼ばれている。彼は大司教から、祈りの力を持つ聖女エデルナを調査するよう命じられるが――。
【2026.4.4 「エブリスタ」にて完結】【執筆応援キャンペーン「悪の〇〇」佳作】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　その夜、王都の風は一段と冷たかった。

　ヴァルディア大聖堂の尖塔の影が、石畳の上に長く伸びる。その足元を、黒衣の影がひとつ歩いていく。

　ルカ・ダリエンツォは、灯りの少ない路地を選ぶように進んでいた。聖堂前の荘厳な広場から少し外れれば、そこはもう、教会が知らぬ顔をしたがる王都の裏側だ。

　腐った野菜と酒、排泄物と血の混じった臭い。遠くで笑い声と怒鳴り声が交差する。ときおり湧き起こる、悲鳴や絶叫。
　ごみだらけの路地は、進めば進むほど暗さを増す。迷路のように入り組んだ道を、ルカはさっさと歩いた。

　月の光さえ届かない裏路地の奥。看板もない酒場の扉を押し開ける。

　中は薄暗く、煙草の煙で満ちていた。粗末なテーブルが並び、客たちは賭博に興じ、酒をあおり、陰にこもった声で噂をやり取りしている。

　ルカが姿を見せると、一瞬、空気が固くなった。

「……おや」

　カウンターの奥で、太っ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>一か月前　　救済を祈る者 - 祈れ、無垢なる善人よ</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/3152/section/40615</link>
      <pubDate>Tue, 26 May 2026 20:00:00 +0900</pubDate>
      <description>特任司教ルカは、禁呪や非倫理的な手段をためらわず使うため、「悪の司教」と呼ばれている。彼は大司教から、祈りの力を持つ聖女エデルナを調査するよう命じられるが――。
【2026.4.4 「エブリスタ」にて完結】【執筆応援キャンペーン「悪の〇〇」佳作】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　王都のヴァルディア大聖堂の裏手には、人目につかない勝手口がある。

　ルカがその扉を押そうとすると――バチッ、という閃光と衝撃が走り、手は弾き返された。

「くそっ、裏口にまで破邪結界を張るんじゃねーよ。入れねぇだろうが」

　舌打ちして、痛む手をさする。

　傍らにいた、純朴そうな顔をした大柄な若者――助祭のジウゼッペが、のんびりした口調でつぶやいた。

「大聖堂に入れない司教って、どうなんですかねー」
「俺のせいじゃねぇ」
「いや、あなたのせいですよ。僕が代わりに扉を開けたらどうなります？」
「同じことだ。その扉から、俺は入れねぇ」

　近くで、しわがれた咳払いに似た音が響いた。二人が振り返ると、腰の曲がった老人が、真っ白な長い顎ひげを揺すって笑っていた。鍬を手に、掘り返された花壇を踏みしめて立っている。
　庭師に見えるだろう。
　――その純白の衣装が何を意味するのか、知らない者の目...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>プロローグ - 祈れ、無垢なる善人よ</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/3152/section/40614</link>
      <pubDate>Mon, 25 May 2026 10:27:00 +0900</pubDate>
      <description>特任司教ルカは、禁呪や非倫理的な手段をためらわず使うため、「悪の司教」と呼ばれている。彼は大司教から、祈りの力を持つ聖女エデルナを調査するよう命じられるが――。
【2026.4.4 「エブリスタ」にて完結】【執筆応援キャンペーン「悪の〇〇」佳作】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　かちり、と木枷の鎖が鳴った。

　火刑台の上は、風よりも罵声の方がよく通る。広場を埋め尽くす群衆の怒号が、熱を帯びた波のように押し寄せてくる。

「人殺し！」
「俺の家族を返せ！　この悪魔め！」
「悪の司教を、燃やせ！」

　ヴァルディア大聖堂跡の正面の広場に組まれた、粗末な木製の台。柱に縛りつけられているのは、黒い法衣に身を包んだ長身の男だ。年のころは二十代半ばと見える。短い黒髪に、角度によって漆黒にも深紅にも見える不思議な色合いの瞳。顔立ちは整っているが、顔色は｜屍《しかばね》のように悪い。
　群衆の投げた石が当たり、その顔は傷だらけだったが。男は平然とした態度で灰色の空を見上げていた。
　足元には薪が積まれている。微かな油と樹皮の匂い。

　男の名はルカ・ダリエンツォ特任司教。この王都では誰知らぬ者のない有名人だ。
　教会法を犯し、聖職者でありながら禁呪や黒魔法に手を染めたといわれ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>エピローグ - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30925</link>
      <pubDate>Mon, 09 Dec 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[「だれが気にするもんですか」と、アリスは言いました。「あんたたちなんて、ただのトランプじゃないの！」
　そう言ったとたんに、トランプたちはいっせいに宙に舞い上がり、アリスめがけて飛びかかってきました。アリスはこわいやら腹が立つやらで小さな悲鳴をあげ、カードをはたき落とそうとしましたが、気がつくとお姉さんのひざに頭をのせて、土手の上に寝ていたのでした。

『不思議の国のアリス』（ルイス・キャロル作、脇明子訳）

====================

――七か月後、コルカタ――

　俺は六十五番街の路地裏で、三人組のちんぴらが女を襲っているのをみつけた。

　よくある光景だ。政治経済が崩壊し、社会インフラが停止し、秩序が失われた今のご時世――特に、警察が治安維持を放棄し、積極的に略奪する側に回ってからというもの――「弱肉強食」が世界のデフォルトだ。弱い者は、力ある者...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(15) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30924</link>
      <pubDate>Sun, 08 Dec 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　[｜全因果否定《オールネゲート》]はすべての物理法則を否定するスクリプトだ。
　それを食らって、レジィナに何が起きたのか。ハードウェアの消滅を知覚したか――それとも、電気信号である意識が瞬時に消滅したのか。
　どちらにしても、電子的意識としての存在を維持できなくなり、彼女は消えてしまった。

　苦しくはなかっただろう、と信じたい。
　「何も感じない」とレジィナ自身が言っていた。その中には苦痛も含まれる。


　レジィナを見送って、かっきり十秒後。俺の体に異変が現れた。

　全身が急に重くなった。腕と脚が一斉に筋肉痛を主張し始めた。
　あり得ないほどの悪臭を知覚した。動物どもがたむろする公園で嗅ぐ臭いを、何百倍も強烈にしたようなやつだ。異臭は物理的な痛みをもって、鋭く鼻腔を刺す。
　おそろしい寒さが、俺の全身を包み込んだ。冷気という名の衣服をまとったかのようだ。体じ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(14) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30923</link>
      <pubDate>Sat, 07 Dec 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　レジィナが次の言葉を発するまで、おそろしく長い時間が過ぎたように感じた。

「だいたい想像がついてると思うけど。あたしはベイカー・スナークの知覚を操作して、|あ《・》|ん《・》|た《・》|を《・》|こ《・》|の《・》|場《・》|所《・》|に《・》|誘《・》|導《・》|し《・》|た《・》。ここは重要な場所なの。
　[ダイモン]の自我が、コルカタの、このデータセンターにしかない、というのは間違い。[ダイモン]は遍在している。[ダイモン]の意識は地球全体を覆い尽くしている。でも……すべての始まりとなったこのデータセンターを叩けば、[ダイモン]に致命的な打撃を与えられる、というのは本当なのよ。もちろんそれは、あたしにとっても致命的な打撃となる」

　傘の下で、俺から視線を一瞬もそらさないまま、彼女は寂しく微笑んだ。

「あたしはもう、亡霊として生きるのに疲れてしまった。電子化したあ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(13) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30922</link>
      <pubDate>Fri, 06 Dec 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　振り返ると、そこには若い女が立っていた。
　身に合わない男物の黒のタキシードを着た、二十歳過ぎの女だ。長い金髪を背中に無造作に流している。その頬は、ちょうど良い感じにふっくらとして、健康的な赤みが差している。きらきら輝く青い瞳が俺に微笑みかけている。

「レジィナ……！」

　俺はうめいた。

　これは幻覚だ。《ローズ・ペインターズ同盟》の幹部たちとの連戦で負荷をかけ過ぎたせいで、[|補助大脳皮質《エクスパンション》]か[｜冗長大脳皮質《リダンダント》]にエラーが発生しているのだ。それで、ありもしないものを知覚してるんだろう。レジィナの幻覚を見ているのは、たぶんハクトとの会話で昔を思い出したせいだ。

　大きな男物の傘で雨から身を守りながら、レジィナはゆっくり歩み寄ってきた。

「この六年間、何度もあんたの前に姿を表してきたけど。名前呼んでくれたの初めてね」
「亡...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(12) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30921</link>
      <pubDate>Thu, 05 Dec 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[「前に『おまえがレジィナを忘れへん限り、俺はおまえを見逃す』と言ったが。あれは半分ぐらいしか｜本当《ほんま》やない」

　ハクトの言葉を耳にした途端、俺は氷の手で心臓をわしづかみにされたような気がした。今の状況の危険さをただちに実感したのだ。
　黒ずんだ広大な空間の中で、白ずくめの長身の男が、やけにぽつんと突っ立っているように見える。

　ハクトの独白に似たつぶやきが、雨音を越えて届いてきた。

「俺も迷ってるんや。この五年半、ずっと迷ってた。
　レジィナの魂の安楽を願いたい気持ちは今も変わらへん。せやけど、何年経っても俺の心を解放してくれへんレジィナを、うらめしく思う気持ちもある。嫉妬心みたいなもんもある。『嫉妬はあかん』と神さんは言うてはるけど、俺も人間やからな。
　ただの片想いなら、『いつか俺を振り向かせたる』とがんばれるけど……他の男を好きなまま死んでった｜娘《こ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(11) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30920</link>
      <pubDate>Wed, 04 Dec 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[「撃ってはいけませんよ！　その男は計画の鍵なのですから！」

　スナークが大声を上げた。
　銃を構えた若者と初老の男はあからさまに不服そうな表情をした。

「殺さなきゃいいんでしょ？」
「命さえ残っていればいい、ってさっき言ってたじゃないですか、あんた」

　俺は、歯を食いしばった。

　ドローンの中にティリーがいる。[｜仮想野《スパイムビュー》]にその存在が映っている。
　ほんの十一メートル先だ。あと少しで取り戻せる。

　頭が痛かろうと、耳から脳まで容赦なく抉ってくる爆音に意識に支配されていようと、そんなものは|無《・》|視《・》|で《・》|き《・》|る《・》。五体に支障はない。
　目の前の敵が俺に銃を向けているが、俺の運動神経は奴らに勝る。|そ《・》|う《・》|信《・》|じ《・》|る《・》。撃たれる恐怖で体がこわばったりしなければ、冷静に状況を見て動けば、...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(10) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30919</link>
      <pubDate>Tue, 03 Dec 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[「雨が降りそうやな」

　夜空を見上げ、ハクトが気の抜けた口調でつぶやいた。

　俺は答えなかった。気合いと怒りの力で進み続けているものの、本当はうずくまりたいほどの激しい頭痛に苛まれていた。空を見上げるために頭を動かしたりしたら、吐くかもしれない。痛みは頭蓋内でけたたましく自己主張を続けている。

　周囲には通行人が多かった。クリケット・グラウンドの異常事態をテレビで見て、洗脳されていない市民が野次馬として集まり始めていた。
　グラウンドの各ゲートの前で群れを成し、安全圏から何とか中の様子をかいま見ようとしている。駅や商業施設からグラウンドの二階ゲートに直結している歩道橋でも、大勢の人が流れている。

「おまえ、これからどうすんのか、考えとるんか？」

　陰にこもったようなハクトの声が響いた。
　俺は、歩く速度が遅いハクトを、若干のいら立ちと共に見やった。本来なら...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(9) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30918</link>
      <pubDate>Mon, 02 Dec 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　会議室で寝かされた自分の体に戻ると――頭がすっぽり苦痛の壺に包み込まれていた。
　ハンマーで頭蓋骨を連打されているような強烈な痛みが脈打つ。
　限界を超えて[｜鏡の国《ルッキング・グラス》]を発動させたせいだ。脳の微細な血管が切れたかもしれない。

「おー。|お《・》|帰《・》|り《・》」

　ハクト・イナバの気の抜けた声が降ってきた。

　俺は、こちらを見下ろす色素のない顔を睨みつけた。

「今まで何してやがった？」
「話すと｜長《なご》なるんやけどな。おまえらと別れた後、ホテルの中でロープを探してたら、スタッフに不審がられて警察呼ばれたんや。で、しばらく留置所に入れられてた。ブラーフモ・ドクトリンのコルカタ支部に頼んで市警と話つけてもらうまで、だいぶ苦労したわ。釈放されたの、ついさっきやねん」

　しゃべりながら、ハクトはもたもたと不器用な手つきで、俺の体を...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(8) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30917</link>
      <pubDate>Sun, 01 Dec 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　震える声で叫んだ[料理番]に、スナーク博士はゆっくりと顔を向けた。

「穴を掘ってもらってるんですよ。……十メートルの穴ですからね。いくら人手を大勢確保できているとは言っても、やはり素手では限界があるでしょう？　爆弾を使えば、作業は速い」

　ごく当たり前の知識を生徒に伝える教師の声で、淡々と答えた。語られている内容のぶっ飛び具合は、口調にまったく反映されていない。

「|こ《・》|う《・》|な《・》|る《・》|こ《・》|と《・》は最初から決まっていましたので。《臣下の証》にはすべて高性能爆弾を仕込んでおいたのですよ。信者たちは全員、自ら高い金を払って爆弾を購入していたわけです。私たちは資金を獲得できると同時に、最終決戦の際の戦力も確保できる……一石二鳥の手でした。そうでしょう？
　現在コルカタ市内に出回っている《臣下の証》は十万個近いはずです。それらがすべて、あのグラウン...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(7) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30916</link>
      <pubDate>Sat, 30 Nov 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　俺を閉じ込めた会議室の扉を施錠し、[料理番]は速足で殺風景な通路を進んだ。世界中のどこにでもありそうな、特徴のない灰色の通路だ。観客の歓声が地鳴りのように伝わってくる。

　扉を押し開けると、眼前に夜の街が広がっていた。
　グラウンドの外壁に沿って、軽食や酒、〈コートボール〉関係のグッズを販売するキオスクが軒を並べている。チケットを入手できなかったクリケットファンとおぼしき連中が、キオスクに群がっている。食欲をそそる匂いが空中に漂っている。

　グラウンドの建物を出た[料理番]は、尖ったヒールでコツコツと舗道を抉りながら、ハルシオーネ・ホテル・コルカタへ向かった。

　二ブロックほど進んだとき。[料理番]の進行方向にある街頭テレビに光が宿った。一つだけではない。道路沿いのすべてのテレビにだ。
　市の提供する定時ニュースや臨時ニュースしか放映しないはずの画面に、妙に懐かしい...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(6) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30915</link>
      <pubDate>Fri, 29 Nov 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[「――ルッテン選手、打ちました！　球はフィールダーの頭上を越えました！　伸びるぞ、どんどん伸びる……打球はバウンダリーを越えました！」

　遠くで絶叫する男の声、そして、管を大量の水が流れ落ちていくときのような、ごおおっという音。

「六ラン、六ランです！　オランダチーム、なんと土壇場でスリランカに一点差まで追い上げました。値千金の一打だ、ルッテン！　この声援をお聞きください！　コルカタ・クリケット・グラウンド全体が揺れています……！」

　どうやら〈コートボール〉が始まっているようだ。絶え間なく響いているごおおっという音は観客の歓声か。試合も後半、ということは、今は早くても午後八時頃だ。
　午後――八時だと！？

　――驚きで、意識が瞬時に浮上する。

　見知らぬ部屋で、俺は仰向けに横たわっていた。白い天井と壁が清潔感を感じさせる空間だ。
　起き上がろうとしたが、動けない。
　自分の体を...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(5) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30914</link>
      <pubDate>Thu, 28 Nov 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　それを目にしたときの最初の反応は、自分の上腹部に――肝臓のある辺りに手を当てることだった。そんなことをしても無意味なのだが。
　誰の肝臓だ？　ライデンのか、それとも俺のか。
　今のところ体内に痛みも、違和感すらもない。

　違和感があるのは、むしろ目の前の光景の方だ。
　俺のスクリプトの作用で、サーフェリーの右腕の長さは七分の一に縮んでいる。体積も筋肉量も、元の三四三分の一だ。一方、肝臓の重さは一キログラムを超える。サーフェリーが縮んだ右腕で肝臓を掲げているのは、通常の状態であれば、四百キログラム前後の物体を片手で持ち上げているのに相当する。

「……あんたのスクリプトはまだ未完成だ。そこにはまだ肝臓はない」

　ほんのわずかな反応も見逃さないよう、ギャングの親玉に視線を当てながら、俺は推測を声に出した。

「おそらくターゲットがその肝臓の幻を受け取った瞬間に、スク...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(4) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30913</link>
      <pubDate>Wed, 27 Nov 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[「あんたに指図される筋合いは……！」

　怒りに鼻の穴をふくらませたライデンの抗議は、途中でぶった切られた。部屋の壁をべりべり、めりめりと押し破って侵入してきた巨大な物体が奴と俺とを隔てたからだ。それは、スニーカーと紺色のスポーツジャージに包まれた人間の足だった――あり得ないサイズの。
　俺の目の前で脚はぐんぐん伸び、ガラス戸を突き破ってテラスを越えていった。太さも成長し、天井にめり込むほどの高さになった。
　今や寝室内の空間の大部分を一本の脚が占めていた。

　隣の部屋の[アオムシ]の体が、寝転がった姿勢のまま巨大化したため、脚だけが寝室へ侵入してきたのだ。

　巨大な肉の塊に押しつぶされて、何人かのギャングが苦痛の呻き声をあげている。下敷きにされたメグも「うぐぅ」と呻いて意識を失った。――[アオムシ]のスクリプトは敵味方の区別なく発動してるんだな。奴はターゲットを絞り込...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(3) - 雨の中のアリス</title>
      <link>https://guseki.kashi-hondana.com/author/page/1755/section/30912</link>
      <pubDate>Tue, 26 Nov 2024 00:00:00 +0900</pubDate>
      <description>電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か！？　奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル！　迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……？
これは、世界が終わるまでの物語。
【2020.3.28 「小説家になろう」にて完結】【講談社レジェンド賞　最終選考作品】</description>
      <content:encoded><![CDATA[　俺のついた嘘は、狙い通り、メグに突き刺さった。
　メグは髪を振り乱して顔を上げた。憤怒と悲嘆の赤黒いマグマが｜垣間《かいま》見えるような｜眸《ひとみ》で、俺を睨み据えた。一瞬で臨界点を超えた憎悪がスクリプトとなって｜迸《ほとばし》った。

illegal script detected ('total_fantasy')
id ('gryphon')

　叩きつけるかのように、[｜事実無根《トータル・ファンタジー》]が炸裂する。
　待ち構えていた俺は、それをそっくりそのままメグに｜反転《リバース》させた。

qualify target=('total_fantasy')
       　id=('gryphon')
      　 attribute=('direction:reverse')

　不意に、メグの鼻の穴から濃い色の血がぷつっと噴き出した。スクリ...]]></content:encoded>
    </item>
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